第10話 黒狐

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地下室では、蒼貴が伸びていた。 耳の近くで発砲音を聞いたせいで、気絶していた。 葵が閉じ込められている檻は、溶かされている。 「あの、助けてくれてありがとうございます。貴女は…」 「葵さん、お久しぶりです」 仮面を外した素顔は、昔、一度だけ会った顔だった。 「珠葵さん!」 「今は、ここを抜けましょう。他の人は、いるかな?」 「えっと、こっちです」 地下室を抜けて、他の人が閉じ込められている部屋へと向かった。 一足遅く、地下室に着いた構成員たち。 「か、会長!」 「しっかりしてください!」 「う…お前たち…」 目を覚ました蒼貴を見て、構成員たちは、安堵する。 黒い狐を被った3人も駆けつけた。 ん?檻が破壊されている? これって…。 溶けていた。 「お前ら、アイツの仲間か?」 と蒼貴。 「アイツって?」 「貴様らと同じ仮面を被ってんだよ!だから、仲間だろ?」 イラついて、口調も荒らげる。 「さあな。つーか、俺らしか今回来てませんが?」 この檻の溶け具合、ほんとに数分前まではここにいた事になる。こんなこと出来んのは…アイツだけだ。来るなんて聞いてねぇぞ?全く。
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