精霊の山

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精霊の山

「なかな光らないね……」 楽しいお買い物に行ってから今日で3日目。 朝昼夜と力を流してもらっても光らない。 何か足りない?他には何も書いてないし… 力がちゃんと流れているのか気になって、カイルの手の上に私の手を載せた。 カッ! 「光った!」 「えっ」 手を引っ込めると光が消える。私手を乗せてるだけなんだけど。 「手乗せててくれない?」 いいけど……いいのかな… 「…でも長い間乗せられると俺がもたないかも」 光らないことには聖剣作りが始まらないもんね。今度はそっと乗せた。 カカッ!! 一段と光った。ノシムの葉は4歩ほど行った所の絹の袋に入れてある。 「いいよ、行ってきて。ちょっと試したいし」 「何を?」 顔を真っ赤にして、 「内緒」 さっと離れて袋ごと持って振り向いたけど、顔を真っ赤にしたカイルが触っているアマンタイトは光ったままだ。 どうやったのかな、あの青い背表紙の本に書いておかなくちゃ。 カイルは頑なに「内緒だってば」と教えてくれない。 ……いっか、私の血筋は私で最後だし。 ノシムの大きな葉で包んで絹の布でぐるぐ巻き、朝日が当たる窓辺にそっと置く。 第一行程は無事終了。どんな風になるのかも楽しみだわ。 「お疲れ様。お茶にしようか」 そろそろ時期かな。いいタイミング。 「あ、私ちょっと用事があるから」 「どこに行くの?」 「……精霊たちのお世話。私以外の人間が来ると怖がると思う。半日で戻るから」 「俺も行っていい?」 そばにいた精霊に話しかけた。勇者様って見えるんだね精霊。 『ケイカがいいならいいよ』 「じゃあ決まり。俺も行く」 私流されてばかりいない?手を繋ぎたがるカイルに流されっぱなし。 島に唯一ある山へ手を繋いだまま入っていった。 『勇者だ!勇者が来たよ』 『ケイカと手を繋いでる。仲良し?』 『仲良しじゃない?私たちもしてみようよ』 手を繋いだ精霊が楽しそうに飛んでくる。なんか恥ずかしい…… 「ふふ精霊って面白いね。お世話って何するの?」 泉に咲いている白い花のお手入れとか、泉に浮いている落ち葉とかの掃除と石碑磨き。 「石碑?」 「そう、何の石碑かは分からないけど精霊たちが大切にしてる」 ちょろちょろと湧き出る水でできた小さな泉に着いた。 白い花の近くに生えてきた雑草を抜いて、持ってきた網で落ち葉を拾って麻袋に詰めていく。 カイルも手伝ってくれたからいつもより早く終わる。 最後に石碑の苔を落として一休み。 「気持ちいいねここは」 大きな木の根っこに座らせてもらって、カイルが寝転ぶ。 ここは一年中花が咲いて、湧き水が出ていて気温や湿度が精霊によって一定に保たれている場所。 小さい頃はよくここに来て泣いてたなぁ。 どうして愚か者クイの末裔なの? 石投げられたら痛いよ? 仲良くしたいのにダメなの? それが日常になってからは気にならなくなったけどね。 図太くなったなって我ながら思う。 物作りに没頭してからは、知らない間に時間が経っていた。 眠くなってきちゃったな…
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