勇者様御一行

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勇者様御一行

「ひえええ!お助けください!もうしません!」 「聞き飽きたわ!世界の果てで反省するがいい!!」  はい。最初に情けない声で今更遅い反省の言葉を吐いたのが、私の先祖クイ。 反省しろと言ったのがこの世界の神様。 先祖はお金に目が眩んで、手をつけてはならないと言われた霊山に入り、豊富にあった鉱物を掘り起こした。 神様から罰を受けて家族諸共世界の果てまで飛ばされる。 それから懲りもせず、商売を始めて私で7代目になる。  あっ言い忘れてた。 私はケイカ。世界の果てで暮らす魔道具士。今年で18歳。 両親は流行病で私が12歳の時に亡くなった。 身内もなく、孤島で気ままな一人暮らし。 世界の果てと言っても、大陸から船で2日行けば着く小島。 大陸の人には「強欲の島」と呼ばれていて、ほぼ誰も来ない。 食料はたった1人、私の魔道具を買ってくれる変わり者のサクが大きな鳥で届けてくれる。 それと家庭菜園で作っている野菜で、なんとか食べていけた。 私の平穏な日々は突然崩れ去る。 「俺の聖剣を作って欲しいんだ」 「……は?」 大きな船でやってきたのは、(ちまた)で有名な勇者様御一行。 魔法使いに賢者、格闘家と強そうなパーティで、こんな世界の果ての小島までやって来た。 「あの、私の事ご存知ですよね?」 「ああ知ってる。優秀な魔道具士だろう?」 「いや、そうじゃなくて。愚か者で強欲者クイの末裔ですよ?」 自分で言うのもおかしいけどもね。 キョトンとする勇者様。大丈夫なの?という目線に隣にいた賢者様が言う。 「絵本で見たことがあるはずだ。「愚か者クイの強欲」」 「だからなんだ?彼女は優秀な魔道具士に変わりはない。愚か者はクイだけなのだろう?」 勇者様って変わり者がなるのかしら。しかも私に聖剣を作れって… ゴトン 硬い音をさせて、麻袋をテーブルの上に置いた。 「アマンタイトだ。魔王の重臣の1人アマンを倒して手に入れた。これで作ってくれないか?」 「ア…アマンタイトですって?!」 魔王の重臣の1人アマンって言ったら、高値で取引されている鉱物ばかりを食べていて、魔道具士の間では有名で希少な鉱物のモンスターよ?!倒したの?てことは超レア鉱物の中の超超レア鉱物じゃない! サクが定期的に届けてくれる、魔道具士協会の新聞に載ってたアレだ! 「作ってくれる?」 手を伸ばしかけて引っ込める。触ってみたいけど、加工してみたいけど!! 「聖剣なんて作れません。聖なる力を持っている誰かの助けが…」 ニンマリする勇者様。しまった、勇者様って聖なる力持ってた。 「それに!聖剣は清らかな者が作らないとダメなはずです。私では…」 ずっと言われてきたから、「愚か者クイの末裔」って。 遊び相手はこの島に住む精霊、時々サクだったし。 神様に怒られちゃった血筋の者が、清らかであるなんて有り得ないでしょう。 「君は乙女なんだろう?」 あっけらかんと聞かないでよそんな事!(うつむ)いてこくんと(うなず)く。 「乙女(イコール)清らかな者。全く問題ない。加えて聖なる力は俺が持ってる、完璧だ」 だめだ、この方に何言ってもスルッとスルーされる。 魔法使いと勇者様を残して大きな船は行ってしまった。 「自己紹介がまだだったね。俺はカイル・シュルツ・イーグン。今年で16歳。独身だ」 名前だけでいいのだけど、後半はいらない情報ね。てか年下だったの?! 老け顔なのね。いやいやそこじゃない。 ミドルネーム持ってるって貴族様じゃない。 「私はメリルよ。歳は聞かない方がいいわ。よろしくね」 「はぁ……ケイカです。よろしくお願いします」 細マッチョのイケメン勇者で貴族様のカイル様と、ナイスバディな魔法使いメリルさんとの共同生活が始まった。 強制的に……
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