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女子力
「夕食はまだ?」
「食べたり食べなかったりなので」
「それじゃいけないな。ちょっとキッチン借りるね」
えっ勇者様って料理できるの?それに砕けた口調に。
「プロ級だから任せていれば、下手なレストランより美味しい物が出てくるわよ」
メリルさんはさっさとリビングに行ってしまう。
鼻歌まじりでキッチンへ入っていく勇者様。
私は焼くか炒めるぐらいしかしないからなぁ。
「メリルと一緒にリビングで待ってて」
手伝うこともできずに、魔道具士新聞を読んだ。
あっと言う間に持参していた食材で、見たことない料理が並ぶ。
「遠慮なく食べて」
なぜか隣に座った勇者様が、さっさっと取り皿に料理をとって渡してくる。めっちゃいい臭い!
「いただきます……」
おーいしーい!!何これ!塩だけじゃなくて色々入ってる!この液体は何?
「ドレッシングだよ。サラダにかけて食べてみて」
野菜が上品に切られていて、サラダボウルに彩よく盛られたサラダに少しかけて食べてみた。
ああ…神よ。愚か者の末裔のくせに、こんなに美味しいものを食べてごめんなさい。
「気に入ってもらえてよかったよ」
ふわっと頬を染めて笑う勇者様。なんか女子力高め?
いいお婿さんになるわ。
「よかったわね、カイル」
2人は恋人なのかしら。ああ、だから残ったのね。
同じ部屋で泊まってもらったらいいかな。
「なんでよ。私はケイカと同じ部屋がいいわ」
えっあれ?違った?
「女子同士でいいんじゃないか?俺はここを使わせてもらうね」
勇者様は私の後頭部に手を回すと、引き寄せて額に何かした。
なんか柔らかいものが当たったような。
「ふっ、おやすみ」
パタン
「貴族様って寝る前に、額になにかするもなの?」
「何にも知らないのね。カイルも苦労しそうだわ」
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