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なんでも屋クルト
スイスイをロープで固定して大陸へ上がる。
「ちょっと失礼」
私をひょいっと抱き上げて、ジャンプすると大陸へとん!と着地。
そのままスタスタと歩いて行く。
もしかしてこのまま行く気なの?
「お店ってクルトって言う所だよね」
そうだけど、降ろして欲しいわ。
悪目立ちだし、石が飛んでくるかもしれないのに。
私の目線を無視して、上機嫌な勇者様は歩いて行ってしまう。
無事にお店に着いてしまった。
「ありがとうございます。重かったでしょうに」
「羽根みたいに軽かったよ。もっと食べないとね」
ニコッと笑う。分からないわ、勇者様は変わり者で何一つ読めない。
少しそれが怖いなと思ってしまった。
「いらっしゃい!あっカイル様とケイカじゃん!」
私を見付けて寄ってきた。変わり者1号のサク。
「セレスとマイカを買いに来たの。ごめんね、すぐに帰るから」
「まあまあ、立ち話もなんだし」
お店の奥に通されてふかふかのソファに座る。隣に座る勇者様。
なんでサクまでニコニコしてるのかしら。
早く帰らないとサクのお店に迷惑がかかっちゃうのに。
「君の所に行く時に船を貸してくれてね」
それでこのお店の場所と名前を知っていたのね。
「お待たせ~」
サクがセレスとマイカを載せたテーブルを、コロコロと押して来てくれた。テーブルの足が少し歪んでる。
しゃがみこんで、腰のベルトに固定している木槌でコンコンと叩いた。
少し転がしてみて真っ直ぐになった事を確かめる。よしっ!治った。
「いつも木槌持ってるの?」
すぐ横で声がして…同じようにしゃがみ込む勇者様。
近くて少しびっくりした。
木槌は持ってると落ち着くから。
近い勇者様にドキドキしながらセレスとマイカをじっと見る。
「これとこれと、それとこれをいただくわ。この3つは似ているけどダイトね」
「さすがケイカ!お金払うから他のも鑑定してくれない?」
二つ目のテーブルを用意していて、また鉱物を見る。さくさくと鑑定してお金をもらった。
「毎度あり~」
当たり前のように鉱物の袋を持って、港とは反対側に歩いて行く。
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