い第十二話「11,111円の教訓」

1/1
前へ
/24ページ
次へ

い第十二話「11,111円の教訓」

 福田「田中、1円出せ」  田中「はあ?」  福田「人生にとって、とっても大切な事を教えてやる」  田中「ホントですか!お安い御用だ。はいっ1円」  福田「田中っ。人生で大切なのは、だな」  田中「はっはい」  福田「10円出せ」  田中「えっ?」  福田「続きを聞きたくないのか!」  田中「はあ……10円」  福田「人生でとっても大切な事、それは」  田中「はい!」  福田「100円出せ!」  田中「えーっ、それダメ!ずるい」  福田「あーあ、人生にとって大切な事が逃げて行きそうだ……」  田中「うーむ 100円。じゃ先輩、答えを!」  福田「それはだな、田中、千円出せ」  田中「えーっ、千円ですか!」  福田「ばぁか、お前はすでに111円も使っている。なのに、何の教訓も得ないまま111円を見捨てるのか!」  田中「はっ、確かにお金は大切にしないと!はいっ先輩、千円」  福田「では、続いて1万円出せ」  田中「先輩、いい加減にしてくださいよ」  福田「俺は別にいい。ただ、先輩としてお前が地獄に堕ちるのを見届けたくないだけだ」  田中「ぐっぐっ 地獄とな……」  福田「おお、天の声がどんどんと遠ざかって行く、それに正比例して悪魔の雄たけびが」  田中「ぐぐっ ぐぐぐ」  福田「短い付き合いだったな、せこい田中よ、さらばだ……」  田中「ぐぐぐーーぐっ!」  福田「これまで多くの愚かな人間が、たった1万円を惜しんだがために……」  田中「まま、まっ待って下さい、先輩どうぞ1万円」  福田「そうこなくちゃ」  田中「では、先輩。改めて聞きます。その人生にとって大切な事とは……?」  福田「うむ、人生にとって大切な事、それは……。  教  訓  は  、  た  だ  で  は  も  ら  え  ぬ  。  と  い  う  あ  り  が  た  い  教  訓  だ  !  田中「確かにそのとおり!先輩、僕、今、心から感動しています。確かに価値ある教訓!!!」 <おまけ>  福田「田中、実は更に価値ある教訓がある!」  田中「さっきの教訓より更に素晴らしい教訓ですか?」  福田「ああ、さっきは11,111円の教訓だ」  田中「はい」  福田「続いては55,555円の教訓だ!」  田中「と言う事は、先ほどよりも5倍もありがたい教訓!!」  福田「うむ」  田中「では、心して!」  福田「田中、5円出せ」  田中「はい、よろこんで5円」  福田「続いて50円」  田中「よーし、50円」  福田「いいぞ、その調子で500円」  田中「これでどうだっ!じゃらじゃらじゃらじゃら」  福田「ちょっと待て、これって全部10円玉じゃないか」  田中「はい、10円ちょうど50枚です」  福田「500円玉ないのか?500円玉」  田中「今、僕、500円玉貯金してるんで500円玉だけは持ってても使いたくないんです」  福田「ダメなんだよ、500円玉でないとダメなんだよ」  田中「なぜダメなんですか」  福田「500円玉一枚だから、なんだかこうスキッとしてるんだよ」  田中「絶対イヤです。500円玉だけはイヤです」    福田「そこを何とかならんのか!」  田中「何とかなりません。これが男の意地というものです」  福田「じゃ、せっかくの教訓が……」  田中「確かに教訓も大切ですが、今の僕は500円玉も大切なんです」  福田「と言うことは持ってるのは持ってるんだな500円玉」  田中「もっ、持ってはいますけれど、きっぱりイヤです」  福田「そう言わずに……」  田中「いいえ、たとえ先輩であっても……」 (どうもこの二人、作者ですら何を考えているか解らない) 5a4b6527-6416-484f-ae7b-6b2153a24c8c
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加