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い第十二話「11,111円の教訓」
福田「田中、1円出せ」
田中「はあ?」
福田「人生にとって、とっても大切な事を教えてやる」
田中「ホントですか!お安い御用だ。はいっ1円」
福田「田中っ。人生で大切なのは、だな」
田中「はっはい」
福田「10円出せ」
田中「えっ?」
福田「続きを聞きたくないのか!」
田中「はあ……10円」
福田「人生でとっても大切な事、それは」
田中「はい!」
福田「100円出せ!」
田中「えーっ、それダメ!ずるい」
福田「あーあ、人生にとって大切な事が逃げて行きそうだ……」
田中「うーむ 100円。じゃ先輩、答えを!」
福田「それはだな、田中、千円出せ」
田中「えーっ、千円ですか!」
福田「ばぁか、お前はすでに111円も使っている。なのに、何の教訓も得ないまま111円を見捨てるのか!」
田中「はっ、確かにお金は大切にしないと!はいっ先輩、千円」
福田「では、続いて1万円出せ」
田中「先輩、いい加減にしてくださいよ」
福田「俺は別にいい。ただ、先輩としてお前が地獄に堕ちるのを見届けたくないだけだ」
田中「ぐっぐっ 地獄とな……」
福田「おお、天の声がどんどんと遠ざかって行く、それに正比例して悪魔の雄たけびが」
田中「ぐぐっ ぐぐぐ」
福田「短い付き合いだったな、せこい田中よ、さらばだ……」
田中「ぐぐぐーーぐっ!」
福田「これまで多くの愚かな人間が、たった1万円を惜しんだがために……」
田中「まま、まっ待って下さい、先輩どうぞ1万円」
福田「そうこなくちゃ」
田中「では、先輩。改めて聞きます。その人生にとって大切な事とは……?」
福田「うむ、人生にとって大切な事、それは……。
教
訓
は
、
た
だ
で
は
も
ら
え
ぬ
。
と
い
う
あ
り
が
た
い
教
訓
だ
!
田中「確かにそのとおり!先輩、僕、今、心から感動しています。確かに価値ある教訓!!!」
<おまけ>
福田「田中、実は更に価値ある教訓がある!」
田中「さっきの教訓より更に素晴らしい教訓ですか?」
福田「ああ、さっきは11,111円の教訓だ」
田中「はい」
福田「続いては55,555円の教訓だ!」
田中「と言う事は、先ほどよりも5倍もありがたい教訓!!」
福田「うむ」
田中「では、心して!」
福田「田中、5円出せ」
田中「はい、よろこんで5円」
福田「続いて50円」
田中「よーし、50円」
福田「いいぞ、その調子で500円」
田中「これでどうだっ!じゃらじゃらじゃらじゃら」
福田「ちょっと待て、これって全部10円玉じゃないか」
田中「はい、10円ちょうど50枚です」
福田「500円玉ないのか?500円玉」
田中「今、僕、500円玉貯金してるんで500円玉だけは持ってても使いたくないんです」
福田「ダメなんだよ、500円玉でないとダメなんだよ」
田中「なぜダメなんですか」
福田「500円玉一枚だから、なんだかこうスキッとしてるんだよ」
田中「絶対イヤです。500円玉だけはイヤです」
福田「そこを何とかならんのか!」
田中「何とかなりません。これが男の意地というものです」
福田「じゃ、せっかくの教訓が……」
田中「確かに教訓も大切ですが、今の僕は500円玉も大切なんです」
福田「と言うことは持ってるのは持ってるんだな500円玉」
田中「もっ、持ってはいますけれど、きっぱりイヤです」
福田「そう言わずに……」
田中「いいえ、たとえ先輩であっても……」
(どうもこの二人、作者ですら何を考えているか解らない)
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