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い第十五話「第三の性」(「男」「女」そして「やわらか」)
田中が、出張先からメールを送ってきた。
「大変です。これ見てください。By田中」
「僕は、あせっています。By田中」
「人類は男と女の二種類ではなかったのです。By田中」
「人類は、人類は、三種類。By田中」
「人類は『男』」と「『女』」と「『やわらか』」です。By田中」
「以上、出張先のホテルでチェックインしてトイレに入ったところの田中からの緊急報告です。By田中」
…………
うーん。確かにおしりとビデの真ん中に『やわらか』
つまり、おしりの穴と女の人のあそこの間に『やわらかと言う排泄腔』がある人類が存在すると言うわけだ……。
昔から人類は男と女とやわらかの三種類だったのか……。
待てよ、昔からであればトイレも風呂も「男用」「女用」そして「やわらか用」の三種類あるはずだ。
しかし「男風呂」「女風呂」はあるが「やわらか風呂」は見たことはない。
とすると、やわらか、は、ごく最近できた新しい性なのか?すると、突然変異か?
…………
『今、この満員電車に揺られている三分の一は、やわらかさんなのか……』
『この、俺の隣でスポーツ紙を読んでいるおっさんは、男か女かやわらか、か?』
『いや、そもそも、このおっさんがやわらかであった場合、おっさんと言う呼び方は正しくない。おっさんとは、人間の男の一種に対する侮蔑的な呼称であるから、このやわらかにおっさんと言うのは失礼にあたるかもしれないのでこの人の場合は「おっさんっぽいやわらか」と言うべきか……。それにしても人類が突然、三種類になっているとは思ってもいなか……」
「はっ」
『……俺は男か?今の俺は、まだ男か?』
そう思うと福田は、ぎゅうぎゅう詰めで身動きすら取れない状態の満員電車であるにもかかわらず、俺が俺である核心を握りたい、と右手でそろりそろりとズボンのベルトをゆるめ出し、左手で自身の……
『ぴ~ぽ~ぱ~ぽ~』
その頃、出張先の田中は、福田に「念のため女子トイレにも『やわらかボタン』があるかどうか見ようと思って今、入ったところなんですが、女子トイレって全部個室なんですねぇ、知らなかったです。で、どこも入ってるようなので、少し待ってようかと……」とのメールを残し……
『ぴ~ぽ~ぱ~ぽ~』
<おまけ>
何も言いたくありません。
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