い第二話「おんぶにだっこにかたぐるま」

1/1
前へ
/24ページ
次へ

い第二話「おんぶにだっこにかたぐるま」

   神様係の福田 「……ではごほうびに、お前に三つのお願いを叶えてやろう」  人間係の田中 「ははー神様。ではお言葉に甘えまして『おんぶ』」に『だっこ』に『かたぐるま』の三点セットをお願いいたします」  神様係の福田 「おんぶにだっこにかたぐるま?お前、たしか三十七歳だろ。アホとちがうか……」  人間係の田中 「ぐぐっ、実は私、幼い頃に動物園で迷子になってしまい、それからというもの動物園の園長さんに動物と一緒に育てられたため、冥途の土産に一度でいいから人間に『おんぶ』に『だっこ』に『かたぐるま』をしてもらいたかったのです。もちろんそんな事は恥ずかしくて誰にも言えません……」  神様係の福田 「そうか、事情はわかったようでわからぬが、まあよい人間よ、その願い、わしが叶えてやる」  人間係の田中 「うわーい」  ……面倒なのでここから役職と氏名略…… 「さあ、いいか人間、では、おんぶじゃー」 「うわーい」 「次はだっこーーー」 「うわーい、うわーい」 「最後のお願いの、かたぐるまじゃー」 「うわーい、うわーい、うわーい」  ………… 「ありがとうございました、神様……。これで人間として……。あれっ」 「…………うるうるうるうる」 「神様、どうされたのですか?」 「思い出したのじゃ、わしの娘が小さい頃の事を……。こうやって、毎日、おんぶにだっこにかたぐるまをしてやったものじゃ」 「楽しい時間を過ごしたんですね」 「ああ、あの頃は楽しかった……。しかし娘は、思春期に入る三日前に無免許飲酒のあおり運転の一旦停止を怠った交通事故で……この世から……うるうる」 「神様、それ以上言わないで!」 「なあ、人間よ、お願いがあるのじゃ」 「はい」 「そのう、もう一度、やらせてくれんか?」 「おんぶにだっこにかたぐるまをですか」 「ああ、お前がよければのお願いだが……」 「わかりました。もちろん、喜んで!」 752c87c9-382e-4f45-ac6c-14dfed16e62e 「いくぞーおんぶだー」 「わーい」 「だっこだ」 「わーいわーい」 「かたぐるまだ」 「わーいわーいわーい」 「もう一回いくか!!!」 「わーい」 「さあ、もう一回!!!!!!」 「わーいわーい」  ☆★☆★☆★☆★ 「田中、最近あみだしたこの神様ごっこって、おもしろいなあ」 「次、僕が神様の番ですね」 「ただな田中、娘が交通事故ってところ、なんか不自然じゃない?神様の子供が交通事故ってのはなあ……」 「さすが先輩!僕もそう思ってたとこなんです。うーんそうだ!『不治の病』ってのはどうです?」 「いいなあ、神様でも直せない不治の病!」 「じゃ、そこのセリフ変更して、もう一回やろう!」  …………  今度の神様係の田中 「ご褒美だ。よってお前に三つのお願い、お願い、ぐぐぐ」  今度の人間係の福田 「田中!まだ泣くの我慢!」  今度の神様係の田中 「はい、ぐぐぐ」  今度の人間係の福田 「では、神様。お言葉に甘えまして、ぐぐっ『おんぶ』に『だっこ』に『かたぐ……三点セッ……だめだやっぱ泣けてくるなあ~」  ……以下略……  ・別に仕事中に神様ごっこをしてはいけないと言う法律はないが、もう少しましな遊びを思いつかないのだろうか?  ・田中にしろ福田にしろ『おんぶ』」に『だっこ』に『かたぐるま』の動機が明らかに嘘くさすぎるので、ここは脚本を変えたほうご良いと思う。  
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加