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5.最深部の魔王
「はーぁ、糞くだらねえ。つまんねぇ」
「魔王様。そうおしゃらないで真面目にお仕事してください」
「うぜぇ。てめぇ俺に指図すんな糞虫が」
「魔王様ぁ~」
今日もこの羽蟲はブンブンブンブンと煩すぎるっちゃぁあらしねぇ。せっかくつまらねぇ妖精アバターを空呼ぶ羽つき線虫に変えてやったっていうのによぉ。何も変わりゃしねえじゃねぇか。
俺は魔王ダートシュルフェルドだ。なんか気づいたら魔王だった。
エイルンフィル迷宮の一番奥にいる引きこもり魔王。通称ぼっちのダー兄さん。俺も何品かイラストを納品した。烏の濡羽のような長髪黒髪で青灰の瞳で眉毛が細くて鼻が高くて唇がエロくて長身で魔力もりもり剣技マシマシのテンプレ的超絶美形というつまんねぇアバターだ。
このアバターはいくつかバリエーションはあるが基本は固定だ。ネームドキャラは服はともかく容姿自体はいじれねぇ。だいたいこんな人っ子一人いない場所にイケメン置いても宝の持ち腐れだと思わねぇか? ごりっぱなもんも使えやしねぇ。
それで俺は何故かゲームの中に異世界転生している。ゲームに転生とかこの日本語がおかしいあたりは嫌いじゃねぇが、ダンジョンログを漁っていたらすでにエンディング後の時間軸だった。
なんだ1年もかけて誰も50階層どころか30階層にも到達してねぇじゃねぇか。やる気がねぇにも程がある。
デフォルトでも35階層以下は難易度は高いがとりあえず35階層から45階層はゲームで言うとインフェルノモード、つまり難易度極高に設定しておいて46階層以下は俺の楽園に魔改造した。
ここまで到達する者はいないだろうと思って。
でもなぁ、最近45階層に迫ってくるパーティが2つある。ゲームガチ勢でも1年じゃ40階層にも到達しないだろうなっていう難易度なのに半年で42階層まで到達した。意味がわからねぇ。
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