4.それぞれの順調なパーティ編成

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「どうされました? リーナ様」 「ごめん、ちょっとぼんやりしてたの」  もう地球には戻れないんだ。そう思うとなんだか懐かしいようなそうでもないようなよくわからない思い出。そうでもないな。  それよりカイルとライナスだ。何をとち狂ったのかアルフレッドはあの二人を解雇しようとしているらしい。冒険者ギルドに直接いったとか。馬鹿じゃないのか。そんなのあっという間に噂になるに決まってる。それに募集条件がひどすぎる。  そんなこんなで何もしていないのに私の評判が若干回復している。色狂いの王子に結婚を拒めないようにされたとか女をたくさん妾にしようとしてるとか。  まあそんなことはどうだっていい。問題はカイルとライナスだ。  エイルンフィルに入るにはこの国の貴族当主か皇族の免状又は冒険者ギルドが認定した同国人でなければ入れない。そうでなければ外国人が押し寄せてダンジョンの金銀財宝を根こそぎ刈り取っていくからだ。2人がアルフレッドに首にされたなら簡単にダンジョンに入ることはできないだろう。  そして今はジーナを通してギルドの会議室を借りていた。ここならギルドが管理するから秘密が漏れることなどない。 「本当によかった。無事だったんだね」 「ええ、私は大丈夫。アルフレッドに宮殿に閉じ込められてしまったの」 「ひどいな。もともとおかしな奴だったが何があったんだ? ここ1ヶ月は本当に酷かった。リーナのバフが無意味とかわけがわからない」 「あー。アルフレッドには無意味だったのかもね」 「どういうことだ?」  バフデバフというのは通常の状態から底上げ底下げをするものだ。やる気があるところでかければその力が何割増しかするから効果は実感できるが元々やる気がないところを底上げしてもあまり意味がない。  そもそもこのゲームにおいてアルフレッドは勇者的に中途半端に何でもできる雑用要因であってその最も重要なのはムダに高いラック値で良い展開が起こりやすいとか宝箱がうまく開くための存在感なのだ。ラックなんて目に見えないからまさに役立たず。
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