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ああーどうしよう。
46階層以降に立ち入らせるわけねぇんだ。なんていうか俺の趣味全開すぎて1フレームでもカメラに収まれば即教育委員会から差止食らって運営が警察に捕まりかねないレベルだからな。
というかこの世界がわからねえ。運営へのGMコールなんてものも存在しない。ここは本当にゲームの中なのかな。まぁ、俺が好き勝手改造してるのにBANされてないってことはもともと俺がプレイしてたゲームとは直結していないように思うが……。わからねぇもんはわからねぇな。考えても仕方ねぇ。
とりあえず今も布団に寝転がって煎餅かじりながらぼんやりモニタを眺めているが、王子のパーティは淡々とお手本みたいなプレイで巨乳を操ってダンジョンを突き進んでくる。もう一方の主人公パーティはカイルとライナスの鉄板コンビに何故かネタキャラメイドを鍛え上げて魔改造した装備で駆け下りてくる。ネタキャラといえどもこの世界はスキル構成次第なとこもあるからな。
でもこのムーヴを見ればこいつらが誰かなんて丸わかりだ。なんで別々のパーティでやってるんだ? 夫婦喧嘩でもしたのか? わっかんねえな。
「変な馬の餌のお時間です」
「お? おお、もうそんな時間か」
変な馬は俺が作ったモンスターだ。作っちまったもんは仕方ねぇ、飼い始めた責任だ。飯を食わせんといかん。俺はのそのそ起き上がってドテラを羽織って厩舎に向かう。
この世界はネームドのアバターの変更はできないが、ダンジョン内である限りモブの形状を変更したり新しいネームドやモブをクリエイトできる。魔物創造は魔王の固有スキルだ。
そんで最近俺が作った頭は白馬で胸から下は人間の『変な馬』。……俺にはネーミングセンスがねぇからそこは気にしねぇでくれ。ちなみにこの『変な馬』、乗るときは四つん這いになって人間部分の背中に乗るんだが、足が遅い。自分で走ったほうが早い。だからこいつはもっぱら日中厩舎でゴロゴロしてやがる。使いもんにならなさすぎて落ち込んでたのを慰めたらなつかれた。以降俺が運ぶ餌しか食わねぇ。食うのはなぜか『変な牛』だけという偏食なんだが。
そんなわけで46階層以下は俺の気が向くまま改造したフィールド。どんなやつがきても46階層に立ち入った時点で瞬殺できる自信はあるが、もしプレイヤー、つまり主人公の視覚がゲーム世界と繋がっていたとすると階層を開けた時点で階層ごとデリートされかねねぇ。俺が心血込めて作ってきた世界なのによぉ。
どうすっかなぁ。
やっぱ平和的に説得するしかねぇかなぁ。
うーん、まああいつらなら。
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