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「3日ほど休息して探検を再開しましょう?」
「大丈夫なのか? アレフたちは今44階層のボスだろう? 追いつかれるのは君もまずいんじゃないのか?」
「そこはジーナが何とかしてくれるでしょう」
「ジーナまじ怖ぇ」
「ほほほリーナ様のためなら当然ですわ」
もともとジーナはゲーム本編でも仲間にできるキャラである。盗賊系統の潜在値はあるが、もとのレベルが低いのと他に特化キャラがいくらでもいるのでジーナをパーティにするプレイヤーというのは少ない。メイドプレイでメイドばかり集めてメイド無双すると言うスタイルがあるとは聞いていたけど、私の場合はそれじゃなくて純粋に身の回りでパーティが組める人間がジーナしかいなかった。最初はやむを得ず、だったのだ。
けれども人間というものはパラメータのみで語られるべきではないということがよくわかった。ジーナはメイドだ。メイドは『見る』のだ。王宮を、そして世の中を。
なんとなくジーナには隠しスキル『権謀術数』というようなものがあるのではないかと思っている。
最初はカイルとライナスがどうやってエイルンフィルに入っているのだろうと噂になった。そこでアルフレッドが『パーティを女だらけにするために』二人を追い出して、それを『哀れに思った』皇太子妃が認可を授けたのだ、という噂をジーナが流した。
まあ実際は全部自分のためなんだけど。
それで私たちは装備を自前で調達しているが、アルフレッドたちはあの強大なボスを倒すために国庫を食い潰している。至宝の宝玉や神話の武具を次々と破壊しながら攻略をすすめていて、今度財務局から諮問があるはずだ。今も私が手ずから術式を刻みお金のかからない方法で二人を助けていることが対比されて大分絞られるはずだ。でもあの何を言っても響かなさそうな唯我独尊なあの王子にはダメージは通らないだろうけど。
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