5.最深部の魔王

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「それならば話し合いの余地はあるのだろうか。正直この階層より下に降りるのは難易度的に無理ではないかと思っていた」 「でも攻略しないと格好がつかないよ」 「あの、みんな。何ていうかこの先はボスまでたどり着けないと思う」 「うん? 何故だ?」 「それはなんていうか」 「おーい、入り口ちょっと片付けてきたぞー」 「……中を見ればわかる」  不審気に魔王の後ろをついて46階層に足を踏み入れようとした3人はその背中が消え切る前に戻ってきた。 「あるぇー?」 「魔王おそるべし……」 「……紐が……紐が……」 「リーナ様、至らず申し訳ありませんでした」 「ね、無理でしょう?」  カースドラゴンにでも呪われたかのような気配を醸し出しながらコクコクと頷く3人に、魔王マナチは実に心外だという表情を浮かべている。多分まだ序の口だったんだろうけど娯楽や多様性の乏しいこの世界の文化レベルを考えた方がいい。いや、そもそもマナチは他人のことなど考えないのであった。 「でも困ったな。もう一人ここを攻略しようとしてる人がいるの」 「あん? あーそういやお前ら夫婦喧嘩でもしたのか?」 「喧嘩というか別に式はあげたけど夫婦生活なんて一度もないわけで、最近はなんか一方的に避けられている感」 「あーあいつ、巨乳好きだからなぁ」 「あいつ? あぁ、ひょっとしてダンジョン内のモニタとかできるの?」 「あれひょっとして気づいてないのか? あのアルフレッドの中身は道寿だぞ」
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