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Prologue もう離婚したい
青く澄み渡った空の下でカーンカーンと高らかに鐘が鳴り響く。
今日は待ちに待った結婚式。白い何層もの絹とレースで構成された光沢きらめかしい豪華なドレスを身にまとい、薄いヴェールを顔の前に垂らしてながらしずしずとウェディングロードを歩き、その最終地点で待つ王子に手を取られる。溢れんばかりの拍手。
風にのって舞い上がる紙吹雪とともに天にも登るようなこの気持ち、は唐突に冷めた。
王子がヴェールをあげた時に。
あれ? この人見たことある。ちょっとした不快感。
「マルレーン王国第一王子アルフレッド=マルレーンはスーラム男爵令嬢エレフェリーナ=スーラムを妻に迎え、生涯をともにすると誓いますか?」
「誓います!」
あれ? アルフレッド? この顔。やっぱり見覚えが。
「スーラム男爵令嬢エレフェリーナ=スーラムはマルレーン王国第一王子アルフレッド=マルレーンを夫に迎え、生涯をともにすると誓いますか?」
なんだろう、ちょっと待って。
「エレフェリーナ=スーラム?」
それにさっきまでみんなに祝福されていると思っていたのに何だか空気が薄ら寒い。周囲の視線がとても冷たい。ちょっとまって。これはなんだかやばい状況なのでは。
目の前のアルフレッドと呼ばれた男だけが満面の笑みを浮かべ、神父は呆れたような顔をし、ここまで私の手を引いてきた父と思われる男はため息をつき、更に周りをざっと見回すと、ひどくつまらなそうな顔と憎むようにこちらを眺める視線と私の視線が交差して思わす顔を正面に戻す。
何だ、何が起こっているんだ。
だが先程より強い語気で決断を迫られる。
「エレフェリーナ=スーラム。答えなさい」
「は、はい」
「緊張しているの? いつもかわいいね、リーナ」
リーナ?
リーナって誰だ。え、ちょっと待って、今何が起こってるの? 本当に。
ふわふわとカールした金色の髪に宝石のようなコバルトブルーの瞳。目の前のやたらイケメンな王子様感溢れるアルフレッドの唇が迫ってきて、私の唇にちょんと触れた。
そして私は怒涛のように前世を思い出した。そして理解した。
ここは私がドはまりしていたゲーム『幻想迷宮エイルンフィル』の世界。しかもそのエンディングのシーン。しかもこれは、糞面白くもねぇといわれていたアルフレッドルートのノーマルエンド、だ。
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