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私が来ても全く微動だにしない副社長は、余程疲れているのだろう。
どれだけ軽薄であろうが、仕事には妥協はない。
そんな副社長に気づかないふりをしていたことが申し訳なくなり、いつもカバンに入れてある自分のストールをそっと副社長にかけると部屋を出た。
そして今日のスケジュールを確認する。
いつもは副社長の言われるままにスケジュールを立てていた。
完全に技術畑の副社長より、私の方が得意とすることも本当はあると思う。
そんな事を思いながら、私は受話器を取ると電話をした。
時計を確認すると、九時を少し回ったところだ。
朝礼にもでないことを伝え、私はビルの下に入っているショップに向かうと、サンドイッチを前に動きを止めた。
二年近く仕事をしているが、副社長の好みも何も知らない。興味がなかったとはいえ自分でもそのことに驚いた。
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