secret 1

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そうは思うが、よく考えれば副社長がまともに食事をしているところを見たことがない気がする。 いつもコンビニのおにぎり片手にパソコンの前にいるか、会議のお弁当か。 好きなものなど知らなくて当然な気がしてきた。 私は一番無難なミックスサンドを購入すると、急いで自分のデスクへ戻った。 さっきの電話で変更できる予定はずらしたが、一〇時からの社長との打ち合わせは無理だ。 そう思い、私はそっと副社長室へと足を踏み入れた。 先ほどとほとんど姿勢が変わっていない副社長に、私は小さく息を吐くとそっと肩を揺らす。 「副社長。起きてください」 「うーん」 まだ眠そうに目を開けた副社長に、私は淡々と声を掛けた。 「勝手に申し訳ありませんが、スケジュールを変更させて頂きました。朝一の海外事業部とのミーティングは午後からにしてあります」 「ああ、えっと? え? ありがとう?」 まだ寝ぼけているのか、それとも私がこんなにも話しているのが珍しいのか、副社長は驚いたようにストールと私を交互に見た。
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