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「なあ、その副社長っていうの今日はやめろよ」
「そんなことを言われても」
躊躇する彼女に俺は畳みかける。
「俺の友達が香織ちゃんだっけ? あの子に興味を持ったんだ。俺が言うのもなんだけど、弘樹はいい男だよ。チャンスを上げてよ」
「そんなこと言われても私には関係ないし……」
少し悩むような表所を見せた水川さんに、俺は最後にとどめを刺す。
「莉乃。今日はプライベート。上司命令」
上司命令その言葉に、完全に水川さんがイラっとしたのがわかった。
「わかりました。長谷川さん」
「それもなし。誠って呼べよ。敬語もなし」
「そんなの無理!」
その言葉を封じ込めるように、俺はキスしそうなぐらい莉乃に距離を縮める。
「命令を聞かなければどうなるかわかる?」
これ以上ないぐらい、低い声で言いながら顔を近づけると、莉乃は観念したように声を上げた。
「わかった。わかったから」
その言葉に、おれは囲っていた腕を緩めると、その隙をみて莉乃はするりと俺の腕の中から抜け出た。柔らかな甘い香りが俺の鼻孔をくすぐる。
「誠。行こう」
その言葉に、俺は気分が高揚するのがわかった。
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