secret 2

15/61
前へ
/217ページ
次へ
「なあ、その副社長っていうの今日はやめろよ」 「そんなことを言われても」 躊躇する彼女に俺は畳みかける。 「俺の友達が香織ちゃんだっけ? あの子に興味を持ったんだ。俺が言うのもなんだけど、弘樹はいい男だよ。チャンスを上げてよ」 「そんなこと言われても私には関係ないし……」 少し悩むような表所を見せた水川さんに、俺は最後にとどめを刺す。 「莉乃。今日はプライベート。上司命令」 上司命令その言葉に、完全に水川さんがイラっとしたのがわかった。 「わかりました。長谷川さん」 「それもなし。誠って呼べよ。敬語もなし」 「そんなの無理!」 その言葉を封じ込めるように、俺はキスしそうなぐらい莉乃に距離を縮める。 「命令を聞かなければどうなるかわかる?」 これ以上ないぐらい、低い声で言いながら顔を近づけると、莉乃は観念したように声を上げた。 「わかった。わかったから」 その言葉に、おれは囲っていた腕を緩めると、その隙をみて莉乃はするりと俺の腕の中から抜け出た。柔らかな甘い香りが俺の鼻孔をくすぐる。 「誠。行こう」 その言葉に、俺は気分が高揚するのがわかった。
/217ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3388人が本棚に入れています
本棚に追加