3388人が本棚に入れています
本棚に追加
さっきのことで内心は動揺しっぱなしだが、なんとか平静を装うと私は香織のもとへと急いだ。
どうしてこんなところで副社長にあってしまうの?
「莉乃!」
何が起こったかわからないのだろう。慌てた香織になんとか笑顔を向けた。
「二人とも知り合いなのか?」
副社長と一緒にいた人が私に自己紹介をしつつ、交互に私達を見た。
「ああ、昔の知り合い」
会社の部下と言おうと思っていた私は、副社長のその言葉に唖然としてしまう。
「どうせナンパだろ?」
弘樹さんのその言葉に、私はやっぱりそう言うことばかりしているのだろうと呆れてしまった。
その問いに肯定も否定もせず、副社長は私の耳元に顔を寄せる。
至近距離で見る顔は、恐ろしいほど整っていて周りの女の子の視線も痛いぐらいだ。
『うわー、見て。あの人たち』
そんな声に、私はグッと副社長を押し返そうと手を伸ばしたところで、その手を拘束される。
最初のコメントを投稿しよう!