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かなり危なげな足取りの誠を、なんとかマンションの前までくるも、かなり高級そうなマンションに私は立ち止まる。
セキュリティも完璧だろうそのマンションを私は見上げた。
「長谷川様!」
かなり立派なエントランスから聞こえたその声に、私は視線を向けた。
「お手伝いします」
三十代後半ぐらいのスーツ姿の男性が現れ、誠の腕を自分の肩に回す。
一気に軽くなり私はホッと胸をなで下ろした。
「三ツ谷さん、申し訳ない」
「いえ、珍しいですね」
顔を覆いながら言った誠に、三ツ谷さんと呼ばれたその男性は微笑むと私を見た。
「このマンションのコンシェルジュの三ツ谷です」
「あっ、秘書の水川です」
咄嗟にいつもの挨拶をしてしまい、チラリと誠を見た。
得に何も言わない誠に、ここで失礼ようと声を掛ける。
「それでは副社長、三ツ谷さんにお願いをして帰らせて頂きますね」
これ以上、この人と関わりたくなくて言った私だったが、それは呆気なく阻止された。
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