secret 2

21/61
前へ
/217ページ
次へ
かなり危なげな足取りの誠を、なんとかマンションの前までくるも、かなり高級そうなマンションに私は立ち止まる。 セキュリティも完璧だろうそのマンションを私は見上げた。 「長谷川様!」 かなり立派なエントランスから聞こえたその声に、私は視線を向けた。 「お手伝いします」 三十代後半ぐらいのスーツ姿の男性が現れ、誠の腕を自分の肩に回す。 一気に軽くなり私はホッと胸をなで下ろした。 「三ツ谷さん、申し訳ない」 「いえ、珍しいですね」 顔を覆いながら言った誠に、三ツ谷さんと呼ばれたその男性は微笑むと私を見た。 「このマンションのコンシェルジュの三ツ谷です」 「あっ、秘書の水川です」 咄嗟にいつもの挨拶をしてしまい、チラリと誠を見た。 得に何も言わない誠に、ここで失礼ようと声を掛ける。 「それでは副社長、三ツ谷さんにお願いをして帰らせて頂きますね」 これ以上、この人と関わりたくなくて言った私だったが、それは呆気なく阻止された。
/217ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3387人が本棚に入れています
本棚に追加