secret 1

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しかし、私のような秘書の方が周りの女性社員からも反感を買わないし、副社長はいつも笑顔で何も言わない。とても仕事はしやすい環境にあるため、二年たった今はそれなりに居心地も良くなっている。 「水川さん!」 そんなことを考えながらぼんやりしていた私は、呼ばれた副社長の声にはっと意識を戻した。 「大丈夫? あとこの資料も頼めるかな?」 柔らかな声で言われ、私は小さく頷く。 「今から社長と打ち合わせだから、戻るまでにできるかな?」 伺うように尋ねられ、私はその資料の中身を確認すると、「大丈夫です」と副社長を真顔で見た。 「よろしく頼むよ」 本当にそう思ってる? そう言いたくなるほど、怪しいまでにも満面の笑顔の副社長の後姿を見送った。
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