1982年のスマートフォン

13/19

52人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ
「ハルキくん、この半世紀を振りかえってみて、私の人生で誇れる点があるとしたら、それは誠実さなのだと思う。己に対して、他人に対して、自分なりに真摯(しんし)に向き合ってきたのだよ。そのことだけでも、私は生まれてきて良かったと納得できる」 「素晴らしいことですね」 「ただし、たったひとつだけ、深く後悔していることがあるのだ。きっと死ぬまで、それをしなかったことを忘れることはないだろう」 「それをしなかった?」 「そうだ。きみにそれをしてほしいのだよ」 「ぼくに出来ることですか?」 「もちろんだ。むしろ、きみにしか出来ない。そうして、それをすることによって、きみの未来にもひかりが差すと私は信じているのだ」 「なにをすれば?」
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

52人が本棚に入れています
本棚に追加