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「それでね、未来のわたしがこう言ったの。ハルキくんとは別れなさいって。将来、ひどく傷つけられるからって。高校を卒業するまで、わたしたちは付きあうのだけど、ハルキくんが漫画の新人賞を獲って上京することになるそうなの。あなた、応募したでしょう?それから、プロとして軌道にのったら結婚しようと言ってくれたんだって。でもね、実際に漫画家として成功すると、だんだん連絡がとれなくなったそうなのよ。ハルキくんは別の世界の人になってしまうって。わたしは、その悲しみを背負うことになるんだって」
「かすみちゃん…」
苦しくなって、彼女の名前を声に出した。
「馬鹿げているでしょう」
かすみちゃんがほほ笑んだ。
「そんなことない」
ぼくは慎重に言葉を選んだ。
「誰が聞いても、馬鹿げているわ」
「そういう未来だってあるかもしれない」
「こんな話を信じてくれるの?」
「うん、信じる。だけど、それはひとつの未来であって、他の未来だってあると思うんだ。だから、きみとぼくが一緒の未来だってあるはずだよ」
ぼくは、自分自身にそう言い聞かせたかったのだと思う。
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