1982年のスマートフォン

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そして、すずしい風が吹いてきた。 「ねぇ、ハルキくん、E.T.ってSF映画を知ってる?今、アメリカで大ヒットしているんだって」 「スピルバーグの新作だよね」 「日本でも年末に公開されるそうだから、ふたりで観にいかない?」 「クリスマス・デートとか?」 「ロマンティック」 ぼくは、かすみちゃんの美しい輪郭(りんかく)がうす闇に溶けこんでいくのを見つめていた。 太陽が沈み、もうじき世界は真っ暗になってしまうだろう。 いつのまにか、現在が過去に、未来が現在になるみたいに。 ぼくは思う。 ぼくたちは、過去にも現在にも未来にも同時に存在している。 たとえ、どこにいたとしても、なにをしていたとしても、いつだって生きることに不安や恐怖を抱く。 だけど、それこそが、きっと生きていることの証なのだ。 THE END
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