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「さすが、私だ。今、きみは現実と向きあっている。不安や恐怖に立ちむかおうとしている。実に感動的だ。ふつうなら、パニックして逃げだしてしまってもおかしくない。私はきみであることを誇りに思うよ」
「あのぅ、おじさん」
その男の映像に、ぼくは話しかけた。
「おじさん、は止めてほしい」
その男が改正した。
「なんと呼べばいいですか?」
「me、がいい」
「ミー?」
「うん、英語でね。meがいい。さん、付けもいらない」
「meですね。それで、meは未来の人なのですよね?もしそうなら、未来について話してもらえますか?それとも、歴史を変えてはならないとか、そういうSFにありがちなルールで禁じられていたりしますか?」
「そんな決まりごとはない。タイムパトロールも存在しない。これは、ごく個人的な超常現象なのだ。なぜ、このようなことが可能なのか、正直、私にも謎だ。そういう事例がないかをネットで検索してみたが、まったく答えを得られなかった」
「ネット?」
「私たちの時代にはインターネットという便利なものがある。略して、ネット。ネットというのは、コンピュータを使って繋がる世界規模な情報通信網のことだよ」
「さっぱり、意味が分かりません」
「ディズニー映画で『トロン』というのが、もうすぐ公開になるだろう」
「はい。先週、映画館で予告編を観ました」
「あれに近いことが現実化するのだ」
「コンピュータ・グラフィックスとかいうやつですね」
「ぜひ、劇場で観てほしい。実に先駆的な映画だから」
たしかに、あの予告編の映像はすごかった。漫画の神さまの手塚治虫が強い影響を受けたくらいだから、ディズニーというのは本当に凄い会社なのだろう。SF映画といっても絵空事ではなく、きちんと科学的根拠に基づいて製作されたのかもしれない。とにかく、今度、鑑賞してみよう。漫画の参考になるかもしれない。
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