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「それで、meの人生は…ぼくの未来はあまりパッとしなかったのですね?」
ぼくは単刀直入にたずねた。
「そうだね。成功とは程遠い」
meが答えた。
「どんな仕事をされているのですか?」
「2021年の世界では、英語の先生をしている。リモートで…つまり、テレビ電話のような遠隔操作で中高生に教えているのだ」
「テレビ電話?」
「正確にはテレビじゃなく、ノート型のコンピュータを使う」
「先生と生徒が離れた場所にいながら授業ができるのですね?」
「まさに。このスマートフォンできみと会話しているみたいにね」
「なるほど。こういう感じですか。すごいなぁ、便利だなぁ」
「便利なだけではないのだ。安全でもある」
「安全?」
「実はね、2019年の冬くらいから、新型の殺人ウィルスが世界中に蔓延して、パンデミックになるのだ。パンデミックって分かるかね?」
「ペストとか?スペイン風邪とか?」
「その通りだ。急ピッチでワクチンが開発され、日本でもその接種が進んでいるのだが、ソーシャルディスタンスといって、人と人が以前のように気軽に対面することが難しくなった。ほとんどの人間が外出時にはマスクをつけている。仕事もコンピュータの画面を通じて行い、テレワークというのが推奨されている。すべては感染リスクを減らすためだ」
「先週、テレビで『復活の日』という角川映画を観ました。ある国の細菌兵器が事故でばらまかれて…生存者は南極だけに暮らしている」
「あぁ、小松左京の原作だね。あそこまで壊滅的では無いが、イメージ的としては遠くない。すでに感染によって、日本でも2万人、全世界では500万人近い死者がでているのだから」
「人類滅亡の危機?」
「そんなことはないと思う。まだまだ、ウィルスとの戦いは続きそうだが、人類は負けないよ」
「とんでもない時代がやってくるのですね」
「誰も想像しなかった。このことを漫画に描いても、たぶん、使い古されたアイデアだと失笑されてしまうかもしれない」
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