もう足踏んづけられるのは懲り懲りです

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「あの子、バレー部の田原(たはら)だっけ? あんな芋草(いもくさ)い女に気安くてっちゃんに話しかけないでっつーの。あれ見た? 彼女の鞄。へったな手作りマスコットつけちゃって」  田原の悪口を言いながら俺のローファーの右足側を何度も力強く踏んづけた。 「いったっ! 何踏むんだよ!」  すかさず言い返したら「あんたが芋臭い女と話するのが悪いんでしょ」  さっきまであんなに褒めてたのに、急に相手を悪く言い出した。  もはや八つ当たりだ。    というかこのローファー一週間前に新しく変えたばっかなんだけど!  あのー、これ汚れひどかったら弁償してくれるんですかね……。 「さっきから踏んづけてさ、痛いんだけど!」 「男のくせにこんなぐらいの痛みも耐えれないの? この貧弱が!」  仁王立ちで嫌味が返ってきた。  あやは俺とふたりっきりになるとずーっとこんな調子だ。
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