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大型犬後輩にしれっと誘われちゃった話
今週もお仕事頑張ったなってバキバキな体を軽く伸ばして、早く帰ってちょっと飲みたいななんて思ったりして、会社を出るのに自然と早足になった時だった。
「加古さん」
声をかけられて振り返って、その人物を認識して、まず相変わらず大きいなって思った。平均より小さい私は思いっきり見下ろされてるけど、威圧されてる感じはない。何て言うか、凛々しい大型犬? 警察犬みたいなやつ。
「お疲れさまです。今、帰りですか?」
背が高くて堂々としてるけど後輩の神崎匠君はスポーツ系のイケメンで清潔感があって社内でも密かに人気がある。
新人の時に面倒を見て以来、彼が異動した今でも何て言うか懐かれてる。義理堅いのも好感度高い。
この子、いつもいい匂いがするんだよな……香水とは違う匂い。柔軟剤?
「加古さん?」
訝しげに名前を呼ばれてドキッとした。
ヤバい、今の一瞬、確実に意識飛んでた。どこかへ旅立ってた。
「ご、ごめん、フリーズしてた……」
白状するのは恥ずかしかったけど、その真っ直ぐな目に見つめられたら負けだと思った。
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