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お言葉に甘えまくって、散々愚痴って飲んで食べて、何を言われたかなんて忘れてた。
近いとは言っても帰るのすら億劫になって、このソファーで寝たいななんて思うくらいにはぐでぐでだった。神崎君が片づけをしてる音を聞きながらゴロゴロ。神崎君がいいって言ったけど、さすがに幻滅されるかもしれない。神崎君の料理が美味しすぎて私をダメにしたんだ……!
いや、こうなったら寝ちゃおうかな、目が覚めた時に何もかも忘れてたりしないかななんて思った時だった。ギシリとソファーが軋んで閉じかけていた視界に大きな影が入り込む。
「神崎君……?」
疑問系になるけど、誰かなんて愚問だった。ここは神崎君の家で私と二人きり。他にいるはずがないし、いたら困る。
なぜ、神崎君に覆いかぶさられているのか。
ううん、それもきっと愚問。
「下心あるって言ったじゃないですか」
神崎君はちょっと不満そうだった。
確かに言われた。忘れたわけじゃない。神崎君より少し年上だからって、まだボケるような歳でもない。
なかったことになるんじゃないかって、そう思ってただけ。
「こんなだらしない姿見たら消えるものじゃないの?」
「余計に興奮してますよ」
嘘だぁ、と思ったけど、神崎君は真剣な表情をしてる。それなのに、視線を下に移せば、その証拠を見てしまった気がした。
キュンと体の奥が疼く。
期待していたのかもしれない。神崎君の下心に。
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