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「それとも、他の男にもこんな姿見せてます?」
「ま、まさか」
「俺だけですよね?」
ちょっと圧を感じる問いに黙って頷く。いるはずのない人への嫉妬?
誰かとまともに付き合っていたのは昔、学生の時のこと。遠い昔のように感じる。
社会人になってからは付き合っても長く続かなかった。その時でさえこんな自分を見せることなんてできなかった。必死に取り繕って、綺麗な自分だけを見せようとしてた。だから、誰とも上手くいかなかったのかもしれない。そうこうしてる内にアラサーになって、どこかで妥協しろとか言われる始末。
「俺が癒してあげます。嫌ですか?」
そう聞かれて嫌と言えるほど私は確立した女じゃない。それどころか嫌じゃないとも言えないくらいにずるい女だった。
嫌なわけがない。本当は神崎君から漂う良い匂いに身を任せてしまいたかった。フェロモンに誘引される虫くらいに。
「瑞希さん」
名前を呼ばれてドキッとした。ううん、これはキュン? 胸がって言うよりも、子宮的な? トキメキなんて言うほど綺麗なものじゃない。
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