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「嫌じゃないですよね?」
もう一度、言葉を変えて問いかけられて小さく頷くしかなかった。
神崎君は確信を持っている。言い逃れはできないと思った。その目に見つめられたら無理。
「だったら、俺のことも名前で呼んでください。知ってますよね?」
「匠君……?」
答える代わりに、そっとその名前を口にすれば神崎君が微笑んだ気がした。あの朴念仁と言われることさえある匠君が。
断言できないのはその顔がすぐに近づいてきたから。
「んっ……」
匠君とキスしてる。それはとても不思議で、だけど受け入れてる自分がいる。
女性経験がないんじゃないかって言われてたような匠君だけど、普通に上手いんだと思う。私だってそこまで経験があるわけじゃないのに、絶対に下手ではないはずってわかる。
年上なのに。そう思うけど、そんなプライドなんて匠君には関係ないんだと思う。
「んんっ! ぁ、ふっ……」
翻弄される。じゃれ合うのとは違う。完全に匠君のペースに持ち込まれてる。不埒な手が動いてる。それが嫌なわけじゃない。
このまま流されていいの?
そう思うけど、ここに来た時から答えなんて決まってた。
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