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 そして翌朝、ドキドキしながら用意しておいたワンピースに袖を通した。   「いいじゃない、莉奈。可愛いわよ」    照れ隠しにエヘヘと笑って答える。実は自分でも、なかなかいつもより女の子っぽいんじゃないのかなと思ってたりする。トモもそう思ってくれるといいな。    家を出る時間が近付くにつれて、ドキドキは加速していく。落ち着かない様子でプレゼントが入った紙袋を何度も確認するわたしを、お姉ちゃんは少し呆れたように笑っている。   「莉奈。ちょっとこっちおいで」    言われてお姉ちゃんの机に歩み寄る。するとお姉ちゃんは引き出しをごそごそとして何か小さな赤いスティックを取り出したかと思うとわたしの頬に手をやり、その何かを口に塗り始めた。   「お、お姉ちゃん?!」    何なのか見えなくて戸惑うわたしには構わず、すぐに手を離すと代わりに鏡を向けてきた。   「うん、よく似合ってる。これあげるから」    うふふと笑いながら渡されたのは、可愛らしいスティック。鏡に写っているのは、ほんのりピンク色でつやつやとした唇のわたし。   「私にはちょっと合わなかったけど、あんたならちょうどね。可愛いでしょ、そのグロス」 「グロス……」 「そ。時々つけ直しなさいね」  それじゃ頑張んなさい、と言い残してお姉ちゃんは部屋を出ていった。残されたわたしはもう一度鏡を見ながら、そこに映るいつもよりちょっと大人なわたしに勇気づけられる。   ──よし、行こう。トモに好きって伝えよう──    グロスをきゅっと握りしめると、わたしはプレゼントの紙袋を持って部屋を出た。
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