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いざ、出陣!
気合いを入れて待ち合わせの駅まで行ったものの、もう体全部が心臓になっているんじゃないかと思えるくらいに、激しくドクドクと脈打って止まらない。
──早く来てほしい。早く会いたい──
──まだ来ないで。心の準備が全然できてない──
相反するふたつの思いに揺れ動きながらも、視線はトモを探してキョロキョロと動いていた。
そしてちょうど待ち合わせの時間、改札の向こう。待ちわびたトモの姿。左右に首を回しながら、トモはわたしを探してた。そう、トモが他の誰でもない、わたしを探してる。たったそれだけのことがとても嬉しい。
「トモ!」
喜びが緊張を上書きし、わたしは明るく呼びかけた。その声にこっちを見て軽く手を上げ、改札を抜けてくる。
近付く彼。間近に来たとき、かすかに目を見開いて驚いたような表情になったあとで、口元を手で覆っている。少し顔が赤くなっているのは、わたしの気のせいじゃないよね?
ねぇ、トモ。今日のわたしはあなたの目にどんな風に映ってるかな。頑張ったんだから、少しでも可愛いって思ってくれる?
「よ、よお。莉奈」
何だか戸惑いながら呼ぶトモに、わたしは心の中で挑戦状を突きつけた。
──待っててね、トモ。もう少しだから。わたし、もう少しであなたに好きだよって言うからね──
わたしはトモと並んで歩き出した。
さぁ、決戦のときだ。
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