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あいつと出会ってから約一ヶ月。胸が苦しくなる時間が増えた。でもその苦しさが不思議と心地いいから、やっぱり私は恋をしているのだと認めるほかなくなってしまう。
温かい日差しと優しく体に溶け込む先生の声、そして満腹感が眠気を誘う午後の授業。ゆったりと蕩ける空気の中、隣人である柏木陽太は気持ちよさそうに頬杖をつきながら目を閉じている。
あまりに無防備で間の抜けた顔をしているから逆に眠気が遠のいてしまう。胸の奥がじんわりと熱を持って体中に広がり、優しく温い空気と溶け合うような感覚になる。本当に空気とひとつになれたら、自然に近づくことができるだろうか。
こんな非現実的なことを考えてしまうなんて我ながらに末期だと思う。今までだったらこんな意味のない妄想なんてしなかったのに。
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