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男性の冷たい言葉に背筋が冷たくなる。
「飽きたなんて……、ゲームって……一体何……」
恐怖で言葉が上手く出ない。
「時間がきたら説明しますよ。このスーツケースは預かります」
スーツケースの中にはスマホに着替えや化粧品、人間ドールになる為の注射器が入っている。
注射器を打たれたら、私の意志に関係なく人間ドールにされてしまう。
「嫌です」
男性からスーツケースを奪い返そうとしたけど、私の力では全く敵わない。
スーツケースは奪われた。
ここから逃げようと入口の方を見ると、男性が私の腕を掴み、スーツケースから注射器を出して、私の腕に打つ。
すぐに身体が動かなくなり、私は立ったまま固まってしまった。
「アニ、ようこそ。我が家に」
ドアが開いて、加藤様と中野様、大石様が入ってきた。
中野様はともかく、どうして大石様まで? 何が何だかわからなくて混乱していると、加藤様が私を見てニヤリとした。
「これで花音、アニ、雪が揃った。大石君、君のおかげで楽しいゲームが出来そうだよ」
加藤様が満足そうに大石様に声をかける。
ゲームって? 花音さんは私の前に大石様の担当をしていた人間ドールだったはず。
体調が悪くなってドールハウスLには来なくなったって聞いていたけど、まさか加藤様の家にいるなんて。
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