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「アニは加藤様、雪は中野様、花音は私、ゲームの勝者が300万円を受け取れるという事でよろしいでしょうか?」
大石様が加藤様に、ゲームの勝者の特典について確認している。
「ゲームの様子は、私が声をかけた人間ドール愛好家達も見ることが出来る。全員から視聴権として30万円を集めたから、そのお金は勝者のものになる」
「まだ人間ドールを知ったばかりの私も参加させて頂いて嬉しく思います。参加するからには勝ちたいですね」
中野さんは手押し車の中にいる雪を見ながら微笑んだ。
ゲームって一体何なの?
頭の中はその事ばかりだ。
「アニ、不安そうな顔をしているね。なあに心配はいらない。アニなら耐えられるよ」
加藤様は笑顔で言うけど、目は笑っていない。
耐えられるってどういう事? 耐えなければいけない様なゲームなんて考えられない。
身体が動けば、すぐにでもここから逃げたい。だけど注射を打たれた今、視線を動かすことさえ出来ない。
「ご主人様、カメラのセットが完了しました。今から視聴者の皆様に掛け金を決めていただきます」
「谷山、任せたぞ」
加藤様が谷山さんに了承を伝えると、地下室の前方に大型スクリーンが降りてきた。
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