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大石様が花音を、中野様が雪を手押し車から出している時、地下室にカメラマンが入って来た。
いかにも軟弱そうな男性で、この人に助けを求めても無理だろうと感じる。
カメラマンは私、花音、雪を順番に撮影していく。
その様子は同時に巨大スクリーンに映された。
加藤様は、視線を動かす事が出来ない私たち人間ドールにもスクリーンが見れるように、私たちの立ち位置を考えている様だ。
『花音に20万!』
『アニに10万!』
スクリーンの下方にコメントが流れている。
視聴者は視聴するのに30万円、賭けの為に10万〜20万円を簡単に出す事が出来る人たちなのだろう。
身体の自由を奪った人間ドールにゲームをさせて、それにお金を賭ける。
人道的に、なんて酷い事をしているんだとは思わないのか?
怒りと恐怖で頭がおかしくなりそう。注射の効き目は2時間。2時間の辛抱だ。
身体が動く様になったら、花音さんと雪さんと一緒に、ここから逃げなくては。
訳の分からないゲームの駒にされてたまるか!
『私の推しはアニだ』
『花音尊い!』
『人間ドール最高!』
コメントはずっと流れ続けている。この人たちは私たちをおもちゃだと思っているのだろう。
『では準備が整ったところで人間ドールによる一番目のゲームスタートです。動く事が出来ないはずの人間ドールは羞恥心にどこまで耐える事が出来るのでしょうか? 最初に身体の一部が動いた人間ドールを1位にします」
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