ドール

7/21
前へ
/180ページ
次へ
「なんて素敵」 思わず口にしてしまった。 「ありがとうございます。我が社はドールを販売するだけではなく、お客様をドールの世界にお連れしたいと思っています」 「ありがとうございます。あの、写真を撮ってもよろしいですか?」 せっかくこんな沢山の素敵なドールが並んでいるのに、見るだけではもったいない。写真に撮れば家でも眺められると思い聞いてみた。 「本来は公開前の最新のドールや衣装は企業秘密の為、写真を撮る事は禁止しているのですが、他ならぬ美沙様たっての願いとあれば、許可させていただく他ないでしょう。ただし、写真館やSNSへの投稿は控えていただく様にお願い致します」 「わかりました。ありがとうございます」 アルバイトに来た事を忘れ、ドールの写真を撮りまくる。 「美沙様が本当にドールを愛しているのがよくわかります」 店長の言葉に、アルバイトに来た事を思い出して、「すみません。つい夢中になってしまいました」と頭を下げた。 「いえいえ。ドールたちも喜んでいると思います。では、アルバイトの件を話しますね。そこにお掛けください」 「はい」 店長に言われて、ドールの世界のイメージと同じ高級感漂う白いヨーロッパ調のソファに腰をかける。
/180ページ

最初のコメントを投稿しよう!

56人が本棚に入れています
本棚に追加