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体温計を持った男性が中に入ってきて、加藤様たちに体温計を渡していく。
身体を動かせないはずなのに、背筋が冷たくなっていく。体温が下がれば負ける。
だけど、どうすれば体温が上がるの?
そんな事を考えていると、加藤様が私の脇に体温計を差し込んだ。
5秒後体温計のブザーが鳴ると、体温を持ってきた男性が、加藤様から体温計を受け取った。
すぐに、スクリーンに私たちの体温が表示された。
私は35.9度、雪さんは36.1度、花音さんは36.3度だ。
人間ドールになっても、体温は平熱と変わらない事に驚いた。
「2回戦、スタート」
2回戦が始まると、加藤様が私のドールをごつい手で撫で始める。
ドールの中に髪の毛が入っているせいだろうか、加藤様がドールに触れたところと同じところを、私も触れられている様に感じる。
気持ち悪い。もし表情を動かすことが出来れば、私は間違いなく気持ち悪そうな顔をしていただろう。
止めて、吐き気がする。手をどけて。
頭の中で叫んでいると、加藤様が私には触れず耳元でいやらしい声で囁いた。
「アニ、感じるんだ。そうすれば体温は上がる』
人間ドールに直接触れるのは反則なのだろう。
感じろって、気持ち悪いとしか思えない。
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