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谷山さんは、加藤様の顔を見ながら話している。
この場を影で仕切っているのはやはり加藤様なのだ。
スクリーンが真っ白になると、これで20分間は恐怖を感じずにすむと、ほっとした。
すぐに私の腕に注射が打たれて、また頭だけ硬直が解かれた。
「アニ、次のゲームで1位を取って2勝すれば勝ちだ」
加藤様がじっと私の目を見ている。
「3回戦で終わりなのですか?」
「2勝すればゲームから抜けられる。残った2人が勝負をして、2位、3位を決めるのだ」
「勝ちたいです」
敗者は必ずいる。雪さんと花音さんには悪いけど、絶対に負けられない。
私は元々負けず嫌いじゃないし、友だちとのゲームではよく負けたけど、今回は命がかかっているから負けられない。
このゲームは感情が強い人が勝つゲームだ。
感情が強ければ強いほど、身体が反応する。
つまり、嫌がれば嫌がるほど勝てる。
それがわかれば、頭の中でさらに嫌な妄想をして、必死に抵抗すれば良いだけ。
実際のところ、加藤様たちはドレスを脱がしたり、身体に触ったりはするものの、それ以上の事をする気はないみたいだ。
それがわかっていれば安心だ。最悪のことを妄想したら良いだけ。
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