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私と加藤様の声が聞こえたのか、雪さんと花音さんからの視線を感じて、2人の方を向いた。
雪さんは泣き止んでいて、私を睨みつけている。
花音さんも、私の顔をじっと見ている。
しまった。1位になれば家に帰れることが2人にも伝わって、2人の闘争意欲に火をつけてしまったのだ。
2人は少し前まで無気力だったのに。
1勝もしていない花音さんは良いとして、3回戦で雪さんが勝てば、雪さんが2勝になり、雪さんの優勝が決まってしまう。
それだけは嫌だ。自分の言葉を後悔したものの、今は勝つしかない。
「雪や花音もやる気を出したようだ。これでゲームが面白くなる」
加藤様が私を見ながらニヤニヤしている。
加藤様はゲームに勝つことよりも、人間ドールが命がけで戦っている姿が見たいだけに違いない。
命をおもちゃのように弄ぶなんて、加藤様を許せないという思いが強くなる。
加藤様の家を出たら、いつか必ず加藤様に復讐をしてやる!
「いよいよ3回戦が始まります。2勝すれば優勝となりますので、この3回戦で優勝者が出るかもしれません。楽しみですね。3回戦は2回戦とは逆のゲームで、人間ドールを虐めれば、ドールがどうなるか? というゲームになります。最初に何らかの反応を見せたドールが勝ちになります」
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