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4回戦、大石様は手でドールの身体を握り、中野様はドールに針を刺している。
ドールに強い痛みを与えた方が人間ドールが早く反応する気がする。
どうして大石様は針を使わないのだろう?
「大石君は優しすぎる。3回戦でも道具を使っていない。そのせいで花音を追い込んでいるのがわからない。本当にバカだ」
加藤様が私の耳元で囁いた。
そうか、大石様はドールや人間ドールに痛い思いをさせたくないのだ。
だけど、負けたら終わり。
私は加藤様や中野様の方が正しいと思う。
大石様は道具を使わないばかりか、ドールを握るだけ。これでは花音さんは痛みを感じる事ができない。
それに比べて、中野様は躊躇なく、ドールに針を刺していく。さすがに中野様がドールの頭に針を刺した時は、恐怖で目を閉じてしまった。
その時、「雪が泣きました。雪の勝ちです」と谷山さんが宣言した。
勝つためといえ、ドールの頭に針を刺すなんて……。中野様が怖い。
4回戦が終わり、雪さんが2勝して、雪さんの2位が決定した。
スクリーンには、喜びや悲しみ、怒りのコメントがたくさん流れている。
3位になった花音さんは、ボディガードの様な男たち2人に手押し車に乗せられ、連れて行かれてしまった。
花音さんを『永遠の人間ドール』になんてしないよね?
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