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「お客様の要望の中に、ドールとお揃いの服を着たいと言うものがありました。美沙様はどう思いますか?」
「ドールとお揃いの服? それは着てみたいです! だけど、ドールの服と同じものを人間のサイズで作れば、高額になりますよね。ドールの衣装さえ、生活費を切り詰めて購入している私には……」
「美沙様も着てみたいと思っているんですね。このドレスは3月に購入して頂いたものです。同じものを試験的にMサイズで作ってありますので、是非今から試着してみて頂けますか? そしてドレスに対する意見をお願いします。これが今回のアルバイトになります」
店長の言葉に驚いた。素敵なドレスを着て感想を言う事がアルバイトになるなんて。
「本当にそれだけで良いんですか? それなら喜んでさせて頂きたいです」
「もちろんそれだけです。伊藤さん、ドレスの試着を手伝ってあげてくれる?」
店長がスタッフの伊藤さんに声をかけると、伊藤さんは「はい。わかりました。美沙様、こちらにお願いします」と私を別の部屋に案内してくれた。
最初に化粧をしてもらい、髪を結ってもらった。
そして、伊藤さんは私がアニの為に購入したドレスを持って来てくれた。
このドレスは中世ヨーロッパの時代をイメージしたもので、ドレスの下には、ドレスのスカートを美しい形に広げる為にパニエと呼ばれる下着をつける。
「美沙様、ウェストを締めますね」
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