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「はい、わかっています」
声が震えてしまう。私はどうしたらいいの?
「よし。じゃ、1週間後、必ずここに帰ってこい。今から白井を呼んでやろう。白井と社長には私が満足していたと伝えなさい」
「わかりました。ありがとうございます」
私は、加藤様という巨大な蜘蛛が作った巣に囚われた、哀れな昆虫だ。
どんなに逃げようとしても、蜘蛛の巣からは逃げられない。
希望を徹底的に挫かれ、帰りたいという思いも薄れていく。
白井さんや社長だって、加藤様の味方に決まっている。
白井さんを呼んだのは、私を監視させる為だろう。
だけど、ここから出られさえすれば、ほんの少しでも逃げられる可能性がある。
ここにいる限り、絶望しかないのだ。
頭の中で、どうしたら誰も犠牲にする事なく、人間ドールを辞められるか考えてみる。
やはり、警察に相談するのが1番だと思うけど、警察は私の言う事を信じてくれるだろうか?
相手はあの加藤様なのだ。
警察が証拠もなく動いてくれるはずがない。
証拠を見せればいい? だけど、スマホは返してはもらえないだろうし、このゲームが現実にあった事を証明する事なんて出来るはずがない。
もし、社長や白井さんが証言してくれたら?
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