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週末とはいえ、平日の午後。
まだ陽光が頑張っている時間。
お互いの仕事がオフになったので、身体で愛を確かめる。
っていうとふたりで積極的にことに及んだ感じがするだろうけど、実情は全く違う。
俺は今朝、一人暮らしのこの部屋に帰ってきた。
ベッドにもぐりこんだのは、ひと通りの用事を済ませてから。
遮光カーテンがいい仕事をしてくれているおかげで、泥のように眠っていて、気がついたらいつの間にか来ていた志信に乗っかられていた、という現状。
まあ、合鍵は渡してあるのでそれで入ってきたんだろうし、お互いに不規則な仕事で連絡も付きにくいから、いきなりの来訪になったところで志信の来訪であれば別に何とも思わない。
寝込みを襲われるのも初回じゃないので、驚きはするけどそれだけの話で、目が覚めればこっちだってノリノリになっちゃうわけだ。
なにせ、俺の手で恋人をとろかすのは、たまらなくいい。
普段は『いい男』の恋人が、でろでろのドロドロになって甘えっぱなしになって、たまらなくエロくて。
寝起きで衝動を抑えきれないのもあるけど、一回目は貪る、当然。
落ち着いてから改めてキス。
志信のいい声を聴きたくて、ころんとベッドに転がして、もうすっかり覚えたイイところを順に辿る。
ふにゃふにゃのくにゃくにゃになるまで体中にキスしまくって、それからベッドの上で壁にもたれて座る俺にまたがらせて、繋がる。
いわゆる対面座位というやつだ。
ふわふわと笑う志信は何を思ったか、俺の指に嚙みつき始める。
かわいい。
口に出したら、きっと嬉しそうに笑う。
俺の恋人はそういうやつだ。
キラキラした顔で「おう」って笑う顔も想像できるけど、きっと半分トんでる今なら、ふにゃんと緩く笑ってもっと俺に甘えてくるに違いない。
だから、俺は恋人の耳元で囁く。
「志信、かわいい」
「ぅぁ…ん……あ、あ、バカきょ、すけ……ああ…あ…」
「うあっ……ちょ……っく、おま」
ゆるゆると楽しんでいて、トロトロの姿がかわいかったから耳元でそう言ったらいきなり志信がイった。
中イキ。
俺を誘い込むようにうねるから、こっちも暴発しかけて、ビビった。
「ふぅ……あれでイクのか……ホントにかわいいな、志信」
「……だろ……もっと、励んでくれても……いいぞ」
ふふっと笑って志信は俺の首筋にすりすりと額をこすりつける。
抱きしめなおして頬にキス。
それだけなのに志信の身体がはねた。
「欲張りだな、お前」
まだ繋がっていたいのはお互い様。
びくびくと跳ねる身体をつなぎとめる。
志信の方からぎゅっと俺に抱き着くから、腰を固定するように抱き返した。
「そうだよ。愛しちゃってるからな、なかなか会えない分搾り取っとく」
「どんな理屈だ」
「理屈言うな、愛だっつーの」
「はいはい」
志信が俺の鎖骨を甘噛みする。
こっちは少しの傷も痕も残さないように気を使っているっていうのに、そんなのはどこ吹く風だ。
だけど隠しているつもりでも丸バレで、寂しかったんだろう、と思う。
顔を見ることはもちろん、こうして肌を合わせるのは、久しぶりのことだ。
それと何か悩み事があるのかもしれない。
好きだ好きだと隠しもせずに甘えてくるのはいつものことでも、少しだけ攻撃的になるというか、俺に歯や爪を立ててくるから。
「きょーすけ」
「ん?」
悩みや不安を、そう簡単に口に出す奴じゃないのはわかっている。
だから口に出さないことの分も、口に出す希望は叶えてやりたくなる。
「もっと……」
「もっと何?」
ぎゅっとして、か?
それとも、激しく?
「ムカつく、きょーすけの分際で」
「なんだそりゃ……あ、ちょ…」
リクエストを聞いたつもりだったのに、むうとふくれっ面になった志信が俺を刺激する。
「もっと」
「わかった」
それじゃあ、ご希望に沿うとしようか。
今はまだ日も高いし、確か明日は休みだったはずだ、煽った分の覚悟はしろよ?
向かい合ったまま高めあって、吐き出して、そのあとはベッドにうつぶせに押さえ込んで、上からかぶさった。
志信の身体を腕の内側に閉じ込めて、感極まってじたばたと暴れるのを抑え込んで、汗をかきまくって、お互いの熱を吐き出す。
「きょ…すけ……すき…」
絶え絶えになった息で、志信が笑った。
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