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(圭介 side)
いつのまにか大きな窓のカーテンの隙間から
朝日が差し込んでいる。
一睡も出来なかった。
俺が寝るはずだったベッドには
彼女が眠っている。
昨夜、彼女は一通り話終えると
電池が切れたように眠ってしまった。
過去を話すのはすごく辛かっただろう。
俺はベッドの脇に腰掛けながら
あの頃の幼さが残る彼女の寝顔を
一晩中眺めていた。
頭の中では5年前のことを思い出しながら
彼女の話をゆっくりと整理していた。
彼女が別れを告げた花火大会の夜。
今思えばすごく急な展開だった。
俺があの日彼女を引き止めていたら…
彼女の変化に気付いていれば…
彼女はこんなつらい思いをせずに済んだのに…
1人で背負わせてごめん…
後悔してもたらればにしか過ぎない。
過去には戻れない。
だけど彼女には伝えたい。
俺たちの未来はこれから作ることが出来るということを。
僕は目覚めた彼女に想いを伝えた。
『さくら、これからの未来を一緒に歩んでいこう。
今すぐじゃなくていい、さくらの気持ちの整理がついたら…。
さくらと天国にいる赤ちゃん、俺の家族になってください…。』
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