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あれから誰にも相談できず、3日経った。
私は意を決して近所の産婦人科クリニックに来ていた。
慣れない雰囲気に落ち着かない。
目の前に座る母ぐらいの女医が優しく微笑む。
『妊娠7週目ですね。心拍も確認できたし
赤ちゃん順調に育ってますよ。』
先生にモノクロのエコー写真が渡された。
『この白いのが赤ちゃんよ。』
私は震える手で受け取り、茫然と見ていた。
『倉木さん、大学生で未婚だよね。
おめでとうでいいのかな…?』
私はすぐに答えられず…
診察室に静かな時間が流れた。
『相手に心当たりはある?』
先生が私の様子を伺いながら質問する。
「…はい…彼氏です」
震える声でボソっと答えた。
『それなら、彼と親御さんとよく話し合って。
産むのなら次回までに市役所で母子手帳を発行してもらってね。
もし諦めるのなら…2〜3週間以内に予約して。
これからの事、よく考えて決めてね。』
「…わかりました」
会計を済ませ、受付で封筒を受け取る。
中には''妊娠証明書"と''中絶同意書"が入っていた。
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