02:過去のはなし

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家に帰り、部屋に籠る。 大好きな【Waz(ワズ)】のアロマキャンドルに 火をつける。 ラベンダーの香りが混乱した私を落ち着かせる。 しばらくエコー写真を見ながら考えていた。 これからの事。 自然と手でお腹を撫でていた。 (ここに赤ちゃんがいるんだ…) 顔が緩む。 心臓がドキドキする。 体中の体温が上がるのがわかった。 (あっ、私うれしいんだ…) (…赤ちゃんに会いたい…) 初めてちゃんと自分の気持ちに気づいた。 ''産みたい!'' そう決意した私は、 自分でもビックリするぐらい頭が冴えていた。 産む為にやるべきことを考えた。 まずは大学は中退する。 あとは、圭介のこと。 妊娠を告げて 諦めて欲しいと言われたら 私はきっと立ち直れない…。 もし結婚となれば 彼は大学を中退して… やりたい事を諦めてしまうかもしれない。 圭介を縛りたくない。 お互いが辛い思いをする前に 私から離れたほうがいい。
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