02:過去のはなし

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『優希、圭介くん、おまたせ。』 玲奈が見つけて駆け寄る。 よっ、と2人が手をあげる。 『さくらちゃんは、久しぶりだね。 今日は一段と可愛いねー!よっ、浴衣美人!』 久々に会う優希くんに茶化され苦笑いを浮かべる私。 『おい、優希。さくらが困ってる。』 圭介が私の手を掴み引き寄せた。 そんな私たちをみて玲奈と優希くんが 美男美女だねっ!とさらに茶化した。 そんな2人を無視して 河川敷に腰を下ろす圭介を見つめる。 (今日で最後だから、、、) 私は必死に笑顔をつくり 「花火楽しみだね〜」と圭介の横に腰掛けた。 圭介は『だな!』と言いながら 当たり前のように手を繋いでくれた。 彼の右手の薬指には 一緒に選んで買ったペアリング。 私は泣きそうになるのを必死で堪え 夜空を見上げた。
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