6 おかえりなさいご主人様♥

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「聞いてみれば? あっメイドさん、オーダーお願いします♪」  傍にいたメイドさんの一人に、星野は注文を始める。 「──あの、今日ここにみやびちゃんて来てますか?」  勇気を出して言葉にしたら、オーダーを聞いていたメイドさんは僕の顔をまじまじと見た。何秒か間があった。 「少々お待ちくださいね、ご主人様♡」  どきりとする。  みやびを呼んでくるのだろうかと身構えていたら、注文したくまちゃん🧸オムライスと一緒に、一通の封筒を僕に持ってきた。 「こちらを預かっております、ご主人様♡ あと好きな文字をケチャップでくまちゃん🧸にお入れしますよ」 「じゃあそいつのくまちゃんに『みやび大好き』って入れてやってくださいー」  星野が横から口出しをしてきた。おい余計なことを言うな。 「かしこまりました♡ そちらのご主人様はどうなさいますか?」 「俺はねえ……ハートをおっきく描いて、その中に俺の名前を。星野って言います!」  僕のくまちゃん🧸オムライスに『みやび大好き』と書かれてゆくのをどうすることも出来ずに無言で見守っていたが、先程渡された封筒が気になり、開けてみる。 「……ん、注文した料理の写真を撮って、送れ……だと!?」  僕の料理には既に『みやび大好き』の文字が書かれていた。ご丁寧に『♡』が散っている。  これを撮ってどうしろと? みやびに見せるのか? どんな羞恥プレイなんだこれは。  星野の料理には星野の名前が入ってしまっているし、料理を交換して撮るわけにもいかない。仕方なくみやび大好きアピール満載のくまちゃん🧸オムライスを、ぷるぷる震えるスマホで撮影した。送れとあった手紙の下の方に、ご丁寧にもQRコードが印刷されている。これ、みやびに繋がるのだろうか?  みやびに送るにしても違うところに送るにしても、手のひらに冷や汗が出てきた。 「宮田ぁ、何このミッション。みやびちゃんに遊ばれてるのか? 愛されてるう」  にやにやしながら星野が茶化してくるが、それを無視して、僕はQRコードを読み取った先に、みやび大好きくまちゃん🧸オムライスの写真を仕方なく送ったのだった。  ──愛されて、る?
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