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しーんとなった。
エレン先生は続けた。
「お母さんはね、レストランに来るだけでも大変だったの。去年まで一緒に暮らしていた少年のお父さんと離れ離れになっちゃって、収入が一気に減っちゃって。毎日毎日一生懸命働いてもお金なんて貯まらない。だけど息子の誕生日くらいはと、寝る間も惜しんで働いてレストランに来た。だけどケーキまで頼む余裕はない」
皆の顔から笑みが消える。
「お母さんとしばらく無言で目を合わせた少年は、席を立ってトイレに駆け込んだ。お母さんは机に顔を伏せてたくさん泣いたよ。息子の前では流せない、大粒の涙」
エレン先生は寂しそうな顔をした。辛そうな顔をした。
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